ぼくたちはあいをしらない
 茂は、ショックを隠せないまま朝のホームルームを迎える。
 担任に紹介されるまま女の子が自己紹介をしている。

「北 自由です。
 ドカンと一発!仲良くお願いします」

 女の子が不思議な自己紹介をしている。
 一緒に暮らしていて気づけなかった。
 達雄と静香が付き合っている……
 みゆきは、誰かと付き合っているのだろうか?
 そんなことが気になり、みゆきの方を見る。
 するとみゆきは、茂の視線に気づき親指を立ててウインクをした。
 なんの意味かは、茂にはわからなかった。
 するといつの間にか自己紹介が終わった転入生が茂の席の前に立つ。

「え?」

 茂は、少し驚いた顔で転入生の方を見る。

「北 自由です。
 来島 茂くんですよね?」

 自由と名乗る少女が茂の方を見て笑う。

「北……さん?」

 聞きなれない苗字に茂を首を傾げる。

「えっと……
 北 南と言えば伝わりますか?」

「南さんには、いつもお世話になっているけど……」

「相変わらず鈍いなぁー」

 自由は、そう言うと茂にはさらにわけがわからなくなる。

「えっと、南さんとどういう関係?」

「いいよ……もう……
 茂くんはいつまでたっても茂くんなんだね」

「それってどういう意味?」

 自由は、その言葉を無視して茂の後ろの席に座る。
 茂は、感じる視線の方を見るとみゆきが、また親指を立てている。

「グッジョブ!」

 そんなみゆきの声が、茂の耳に入る。
 茂の頭が痛くなった……
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