ぼくたちはあいをしらない
しばしの沈黙が、訪れる。
「北さんが、麻友ちゃんっって本当?」
茂がゆっくりと尋ねる。
「うん」
「そっか……」
茂は、下を見る。
「怒ってるよね……?」
「どうだろう。
怒りって感情はないよ」
「そっか……
ごめん」
「……うん。
こっちこそごめん。
こんなときどんなかをすればいいかわかんないや……」
「こんな顔かな」
自由が、そう言って自分の口を指でよこに引っ張った。
「え?」
「それともこんな顔?」
自由は、変顔をした。
「麻友ちゃんだ。
本当に麻友ちゃんだ」
「信じてもらえた?」
「うん。
この空気の読めなさは、麻友ちゃんだから」
茂が、小さく笑う。
すると麻友も笑う。
「納得するところ。
そこ……?」
麻友は、涙も流す。
茂は、その麻友を抱きしめた。
「ずっと言いたかったんだよ。
でも、言えなくて……」
麻友がそう言って大粒の涙を流した。
「……うん。
わかっているよ」
「ごめんねごめんね……」
麻友は、何度も謝った。
すると百寿と南、博士と鴉が現れる。
「終わったのか?」
百寿が、そう尋ねると茂はうなずく。
「はい」
「麻友ちゃんも頑張ったな」
百寿が、そう言って麻友の頭をなでた。
「知っていたんですか?」
茂が、百寿に尋ねる。
百寿はため息をしたあとに答える。
「いや、俺らもさっき南から聞いたんだ。
まさか、記憶を操作されていたなんて思いもしなかったがな……」
百寿は、そう言って南を見る。
「すみません。
あの時は、あーするのが最善の策だったんです」
「いや、気にすることではない。
麻友が生きていた事実だけを今は受けれよう」
「はい!」
茂は、ニッコリと笑い返事をした。
「さぁ、帰るぞ。
みんな自由ではなく麻友としての帰宅を心から待ち望んでいる」
百寿が、そう言うと茂と麻友がうなずいた。
「はい!」
そして、茂たちは麻友とともに孤児院に帰宅した。
麻友の無事を確認した静香たちは、涙を流しながら受け入れた。
ハッピーエンドとまではいかないが、タネの死により世界はほんの少しだけ平和が訪れた。
愛とは何か?
茂には結局のことわからなかった。
でも、愛を知らなくても生きていくことは出来る。
寂しくてもつらくても、他の何かが埋めてくれる。
ぼくたちはあいをしらない。
愛を知らなかった茂は、愛ではない何かが芽生えた。
-おわり-
「北さんが、麻友ちゃんっって本当?」
茂がゆっくりと尋ねる。
「うん」
「そっか……」
茂は、下を見る。
「怒ってるよね……?」
「どうだろう。
怒りって感情はないよ」
「そっか……
ごめん」
「……うん。
こっちこそごめん。
こんなときどんなかをすればいいかわかんないや……」
「こんな顔かな」
自由が、そう言って自分の口を指でよこに引っ張った。
「え?」
「それともこんな顔?」
自由は、変顔をした。
「麻友ちゃんだ。
本当に麻友ちゃんだ」
「信じてもらえた?」
「うん。
この空気の読めなさは、麻友ちゃんだから」
茂が、小さく笑う。
すると麻友も笑う。
「納得するところ。
そこ……?」
麻友は、涙も流す。
茂は、その麻友を抱きしめた。
「ずっと言いたかったんだよ。
でも、言えなくて……」
麻友がそう言って大粒の涙を流した。
「……うん。
わかっているよ」
「ごめんねごめんね……」
麻友は、何度も謝った。
すると百寿と南、博士と鴉が現れる。
「終わったのか?」
百寿が、そう尋ねると茂はうなずく。
「はい」
「麻友ちゃんも頑張ったな」
百寿が、そう言って麻友の頭をなでた。
「知っていたんですか?」
茂が、百寿に尋ねる。
百寿はため息をしたあとに答える。
「いや、俺らもさっき南から聞いたんだ。
まさか、記憶を操作されていたなんて思いもしなかったがな……」
百寿は、そう言って南を見る。
「すみません。
あの時は、あーするのが最善の策だったんです」
「いや、気にすることではない。
麻友が生きていた事実だけを今は受けれよう」
「はい!」
茂は、ニッコリと笑い返事をした。
「さぁ、帰るぞ。
みんな自由ではなく麻友としての帰宅を心から待ち望んでいる」
百寿が、そう言うと茂と麻友がうなずいた。
「はい!」
そして、茂たちは麻友とともに孤児院に帰宅した。
麻友の無事を確認した静香たちは、涙を流しながら受け入れた。
ハッピーエンドとまではいかないが、タネの死により世界はほんの少しだけ平和が訪れた。
愛とは何か?
茂には結局のことわからなかった。
でも、愛を知らなくても生きていくことは出来る。
寂しくてもつらくても、他の何かが埋めてくれる。
ぼくたちはあいをしらない。
愛を知らなかった茂は、愛ではない何かが芽生えた。
-おわり-