聖者の行進
男なんて勝手なモノで、自分たちの浮気は許せても、彼女のそれは簡単に許せない。
しかも、ジョージを含め、ここの仲間たちは、和志の“遊び癖”はよく知っていても、言葉使いまで制限されている和志の過ぎる束縛やストーキングじみた行為について一切知らない。
そういったコトについては、和志は自己防衛から自分に有利な「ウソ」をついている。
だからこそ、尚更、シオリという女性は、ここの仲間たちから見れば最低なのだ。
和志の話を聞いていたジョージもそれと同じで、自分の過去にある“彼女の浮気”という行為には許し難いものがある。
けれど、ジョージは今の和志の“遊び癖”も知っていたし、いくら仲の良い後輩であっても「自業自得じゃないか」という正直な気持ちもあった。
「大変だな、和志も。でも頑張っていればイイことあるさ」
ジョージは和志にそういって慰めた。
小さな街だからこそ、それから間もなくこのシオリの「悪態のウワサ」は簡単に広まっていった。