聖者の行進
★第3章 Gradual Progress
2006年の冬
シオリとジョージは電話番号を交換した後、数ヶ月毎とか半年毎とかで、ほんのわずかに会話をした。
とはいえ、実際の電話での会話ではなく、それから知ったメールアドレスで「最近は調子どう?」とか、お互いの交際相手についての話などをした。(このときジョージには交際する彼女がいた)
メールに対してのレスはお互いに長いものでもなく、2、3回の送信で終わるモノ。
しかし、それから二人で二度だけ食事に行ったことがある。
このときも、当然、たわいもない会話で、最近の様子を伺ったり、お互いにいる彼氏彼女のちょっとしたグチだとか、それとは逆に交際相手の良さを語ったりした。
何だか、二人は気が合った。
別にオーダーする食べ物が似ているわけでもなく、お互いの格好がマッチしているわけでもない。
話しを続けるにも、見ているTV番組や興味のある映画や音楽も全く違うし、そういう物事はお互いにズレている。
ただ、会話のテンポやお互いの話をゆっくり聞こうとする様子。それに自分の世界観ではないモノへの深い興味は共通している。
だから、時間はあっという間に過ぎた。