聖者の行進
★第5章 The Molting


2007年の秋


ジョージは全てに行き詰まりを感じていた。仕事の調子も相変わらず。彼女との恋愛も相変わらず。相変わらずというよりは、現実的にも気分的にも下降線を辿っている。


しかし、そんなマイナス状況のなか、こんなジョージに対して不可思議ではあるが“物事を相談してくる相手”は軒並み増えていた。


他人から聞く、恋愛話、人間関係、仕事のこと、趣味のことから、美味い料理店のことまで、なぜか分からないが、いろいろなコトをいろんな人から相談されたり、聞かれたりする。


確かにジョージは情報通で、仕事柄もあり、地域のことから社会動向まで物事を良く知っている。相手の話を聞くのも「自分の財産」だと考えている。


ジョージはそれらの人に対して、出来るだけの解答やアドバイスを与えた。


ただ、実際には、そういった人たちの悩みや相談を聞くことで、ジョージは“自分の悩みを考えないで済むから”と思うところがある。


「自己満足のためのお人好しだな、、」


ジョージは冷静すぎるほどに自分の行為を見つめていた。


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