聖者の行進
思考の陵辱
ジョージとシオリは食事に出掛けた。
二人が知り合ってからの月日は長いが、今回でまだ三度目の食事。シオリの就職から随分と時間が経ったが、その祝福のためのそれである。
ジョージも自身の晴れない悩みがあり、シオリも自身の悩み出来ない悩みがある。
しかし、久しぶりに会うので、二人は以前のこういう日と同じように、お互いの悩みは伏せながら、最近の様子や、それから身のまわりで起こった様々なことを楽しく話した。
そして、一通りの話題で話が尽きると、お互いの恋愛について二人は聞きあった。
「ジョージさん。彼女と仲良さそうだよね。一緒に買い物とか」
以前、ジョージと彼女の姿を見たときのことを、シオリは思い出して話す。
ジョージは「う〜ん、、」と呟き、額を指でかくと、「倦怠期かな。そうでもないよ」と言って腕を組んだ。
「シオリちゃんは、彼氏とどうなの?」
ジョージが聞く。
シオリは、照れ隠しのように、どこかの社長のような太っ腹な言い方で、「もう、浮気をされて大変ですわ」と答えて、「ほんとにもう」と笑いながら続けてボヤいた。