聖者の行進


しかし、そういった二人の恋愛も長く続けば、さすがのシオリでも自分の苦しさを感じるようになる。


友彦は友彦で、シオリが自分に惚れ込んでいるのも確信しているし、その扱いも熟知できているから、その行いは蒙昧にエスカレートしていった。

あからさまに女を誘う発信・着信履歴とメール内容。


浮気相手やシオリとの行為を撮った友彦のケータイのデータボックス。


友彦はそれをシオリには見せなかったが、シオリは全て知っていた。


だから、シオリはその放置されている時間で、その苛立ちと苦しさを忘れるように友だち男女問わずに楽しく遊んだ。


しかし、そういったシオリの“逃避”もあまりに度が過ぎると、シオリも友彦と同じように浮気をしてしまう。


このシオリの過ぎる逃避は、以前の彼氏のときから身につけたモノだった。


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