聖者の行進
友人の囁き
「最近、ジョージさんとこによく行くよね?」
友人である千夏が、最近のシオリの様子を気にするように聞いてきた。
この日、シオリと千夏は、休みが合ったので、二人で買い物に出掛けていた。
「そうかなあ。前から仲良かったしさ」
シオリは、何の気なく返事して、さらに言葉を続ける。
「実はね、ジョージさんに“好きだ”って言われたんだ。笑」
浮かれて話すシオリに、千夏は、「やっぱりね」と、彼女のことを心配するように答えた。
そして、千夏は最近自分にあった経験談をから、恋愛論を語る。
「私もさ、1年前に職場の人から告白されたんだ。でも、タイプじゃないし、断ったんだよね、そのとき。前に話したよね?」
「うん。聞いたよ」
「でね。そうやって断ったんだけど、それから変に意識しちゃってさあ」
「うん?」
「で、実は、それから半年後に、こっちから告白したんだよね。この人ならイイかって」
「へぇ!そうだったんだ」
「でもね、結局フラれたんだよ。“もういいよ”って言われちゃった」
千夏は、自分とシオリの今を照らし合わせて、彼女の心に呼び掛けた。