聖者の行進
適切な距離
半年前くらいから、ジョージは、よく彼女の家へ泊まりに行っている。
この日も、ジョージは早めに仕事を終えると、彼女の家へと向った。
彼女の母親もジョージのことを気に入っていて、まるで自分の家族のようにジョージを迎えてくれる。
彼女の父親は、別居中で、男手は頼りにされているところもあるから、それは尚更だった。
だから、ジョージもそれに感謝するように、棚の組立てやら、料理作りやらで、泊めてくれる恩に報いていた。
しかし、そうやって家族同然で迎え入れてくれることに、今のジョージは、申し訳ない気持ちで、心が落ち着かない。
シオリへの想いがあるからだ。
「ご馳走さまでした」
この日、ジョージは食事を済ませると、用意されていたお風呂に入る。
彼女はテレビに夢中で、彼女の母親は、早々に寝室へと引っ込んだ。
しばらくして、リビングに戻ってくるジョージ。
「遅いじゃん。長風呂だよ」
そう言って振り向いた彼女は、ジョージを見て驚いて、次に大笑いした。
「なんだソレ!? イイのソレで。笑」
風呂上がりのジョージは自分で頭を刈って、しかも金髪になっていた。