聖者の行進


「あはは、ダメだよソレ! ひと昔前のヤンキーみたいじゃん!笑」


高笑いする彼女。


ジョージは、金髪にした訳を話した。


「あのさ、俺、昔みたいに、もうちょっと自分らしくしようと思ったんだよ」


「で。ソレなわけ!? そんなんしなくても、中身が変わればイイじゃん。笑」


「そんなに、おかしいかよ」


「そういうことで変わろうとするのって、大人じゃないよね!? 笑」


彼女の屈託ない言葉に、ジョージは、段々と腹が立ってくる。


そして、笑う彼女を見ながら、ジョージは、心の中で“彼女との別れ”を決定的に定めた。


「ジョージがイイと思うんなら、イイんじゃない? 笑」


それから数日経った後、ジョージは、彼女の家で別れ話を切り出した。


「俺は今のままじゃダメ。何もかもリセットしたい。結婚願望も無いし、自分で欲しいモノを掴むよ」


ジョージの彼女は、シオリの存在が頭をよぎった。


そして、「自分からは別れが告げられなかった」と言って、ジョージの言葉を快く承諾した。


約3年間の交際だった。

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