聖者の行進
だが、ジョージの逃亡は決して楽しいそれではない。
迷惑をかけている妻子や両親、心配する友人などに懺悔をしながら、ただ生きているだけ。自分の首を絞めている旅。
ジョージは罪悪感の塊になることが、残された唯一の使命だと思い込んでいる。
負えない責任を気軽に放棄して“人でなし”になれば、この逃亡も「生きること」を考えての旅に変わるだろう。
だから、帰る日が一日伸びるごとに、ジョージは「二度と戻れない」と、自らの死に場所を探すほかはなかった。
ところが、ジョージは失意のどん底の中、美子という女性との出会いで、その命を見つめ治すコトになる。
逃亡中の“寄生主”として、いつものように利用しようとした女性。