【短】雨宿り、公園のベンチ。
にやけを我慢して見下ろすと、
「これからは彼女にだけ、
ちゃんと優しくしなよ」
無理やり取り繕ったような笑みの顔が上がった。
「なんとも思ってない子には
タオル貸して優しくしたり、
下の名前で呼んだり、
ましてや頭なんて、撫でちゃ、ダメなんだからっ……」
自分で言いながら、
また泣き始めた。
何だこの生き物。
可愛すぎんだろ。
また俯いて、
必死に目をこすっていた。
俺はその手を掴み、
代わりにタオルで涙を吸い込む。
ぽかんと俺を見上げた表情がまた可愛い。
「ああ、そうするよ。
俺はなんとも思ってない奴には
優しくしない。
誤解されたら困るもんな」
言い終わって
茅島を見ると、
また滝のように溢れ出す涙。