【短】雨宿り、公園のベンチ。
教室全体で盛り上がる
公開告白。
『冷やかしやめろよっ!』
そういって彼女と2人で
教室を出て行ったこいつは
数分後真っ赤な顔をして帰ってきた。
あんな可愛い子、
私みたいなのが絶対敵うわけがない。
それで1人失恋に浸って帰ってたのに、
何、この状況。
「無視すんなよー、茅島ー?」
今まで私と話して見せてくれた楽しそうな笑顔も
いつもはからかってくるくせに
ふと見せてくれる優しさも
全部、特別じゃなかったんだ。
「ってか懐かしいなー。
こうやって2人で放課後話すの」
私からふわっとタオルをとって
自分の髪をくしゃくしゃ拭く。
いつもは少し逆立つ髪も降りている。
それへのドキドキか、
私の肌を拭いたタオルでこいつも肌を拭いているドキドキか。
高1の春、
くじ引きで運悪くクラス委員になってしまった私たち。
「最初は『高橋くん、これでいい?』って、
素直で可愛かったのになあ」
と私の頬をつねる。
蹴っ飛ばしたろか、こいつ。
学年が変わってまた同じクラスになって。
でも、私たちはどちらもクラス委員にはならなかった。