【短】雨宿り、公園のベンチ。



「どうせ素直じゃないですよっ」


顔を背けると

つねられていた手が離れる。


「あっ」

手が離れたことに惜しそうな声を出さないでほしい。


「なんか、あったん?」


今度は頭をふわっと撫でられる。


クラス委員のときから思ってたけど、

スキンシップ激しすぎるから。


だから期待しちゃったんだよ。

惨めだよ。


もう、優しく触んないでほしい。


「……こんなの、よくないよ、

怒られるよ」


絞り出したような声に自分でもびっくりする。


「は?誰に?」


高橋は純粋に驚く。


天然タラシか、こいつ。


察してくれない高橋に苛立つ。

言わせないでほしいよ。


涙が滲む。

泣いても、もう雨ではごまかせない。



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