水平線の彼方に( 上 )
(ノハラ…よく私が分かったな…)

家に帰り、開いた卒業アルバム。その中の自分を見て気がついた。

(そっか…。このポーテールのせいか…)

中学時代、ストレートのロングヘアを、毎日ポニーテールにして通っていた。
ノハラは、よく私の髪を引っ張って、からかって遊んでいた。

今はバイトの時以外、滅多に髪も結ばなくなったけど、長さも中学の頃と同じ。
だから、すぐに気づいたのかもしれない。

(…それにしても、何なのよ…あのハグは!)

いくら久しぶりの再会とは言え、いきなり抱きつかれるとは思わなかった。
厚とは違う男性の匂いに、かなり面食らったのもあったけど……

(バ…バカにしてる!…あんな人前で…!)

全く面識のない人にされても困るけど、同級生はもっと困る。
よく話をしていたノハラだからこそ、子供の頃とギャップもあったし、それについていけない部分もあった…。

当時、同じ位だった身長はすっかり追い越されていた。私を包んだ腕も、すごく逞しかった…。

(な…何思い出してんのよ…私……)

バタバタとアルバムを片付けながら、その日一日、わざとその事を考えないようにした…。
< 12 / 92 >

この作品をシェア

pagetop