水平線の彼方に( 上 )
次の日、私は元の自分に戻っていた。
愛想も何もなく、表面上だけの「ありがとう」を言っている。
単調な仕事に、溜め息ばかりついていた…。
「よっ!」
手を上げて、ノハラが入って来た。
思わず警戒する私を見て、遠慮もなくこう言った。
「お前、愛想ねぇな」
カチン!とくる一言。でも、事実だ。
コンビニで働き出す前から、正確には厚と分かれてから、私は、一度も笑えていなかった。
笑顔というものが上手く作れなくて、無理に笑おうとすると、返って泣きそうになる。
「何しに来たのよ」
お客に対して言う言葉じゃないなと思いながら口にした。
冷たい態度の私に、ノハラは一通の封筒を差し出した。
表書きされた文字。何気に目で追った。
『同窓会のご案内』
「三月三十一日、十九時から「とんぼ」でやる。花穂も来いよ」
無理矢理な感じで手渡された。
「今回、オレと陽介(ようすけ)が幹事なんだ」
「陽介って…平井(ひらい)君⁉︎ 」
顔を上げて聞く。
平井君は中学の頃、いつも学年一番の成績を保持していた生徒で、生徒会長やクラス委員など、人の世話係りみたいな事ばかりする優等生だった。小学校の頃は登校班が一緒で、家も近所だったし、よく遊ぶ仲だったけど…。
(平井君か…懐かしいな…)
何十年ぶりかで聞いたような気分になっていた。
封筒を見つめ黙り込んでいる私に、ノハラは頭の上から話しかけてきた。
「花穂も地元に戻って来たなら、一度参加してみたらいい。久しぶりに会う旧友はいいぞ!皆、ちっとも変わってもねーし」
ノハラを見上げながら、この人が一番変わってないな…と思った。
(でも、私は……)
「…考えとく、一応……」
下を向いて答えた。
何となく、涙が出てきそうになった…。
「まぁ出来るだけ来いよ!参加人数多い方が楽しいからさ!」
明るく言うと、買い物もせず帰って行く。
この封筒を渡す為に、わざわざ寄ったんだと、後になって気づいた…。
愛想も何もなく、表面上だけの「ありがとう」を言っている。
単調な仕事に、溜め息ばかりついていた…。
「よっ!」
手を上げて、ノハラが入って来た。
思わず警戒する私を見て、遠慮もなくこう言った。
「お前、愛想ねぇな」
カチン!とくる一言。でも、事実だ。
コンビニで働き出す前から、正確には厚と分かれてから、私は、一度も笑えていなかった。
笑顔というものが上手く作れなくて、無理に笑おうとすると、返って泣きそうになる。
「何しに来たのよ」
お客に対して言う言葉じゃないなと思いながら口にした。
冷たい態度の私に、ノハラは一通の封筒を差し出した。
表書きされた文字。何気に目で追った。
『同窓会のご案内』
「三月三十一日、十九時から「とんぼ」でやる。花穂も来いよ」
無理矢理な感じで手渡された。
「今回、オレと陽介(ようすけ)が幹事なんだ」
「陽介って…平井(ひらい)君⁉︎ 」
顔を上げて聞く。
平井君は中学の頃、いつも学年一番の成績を保持していた生徒で、生徒会長やクラス委員など、人の世話係りみたいな事ばかりする優等生だった。小学校の頃は登校班が一緒で、家も近所だったし、よく遊ぶ仲だったけど…。
(平井君か…懐かしいな…)
何十年ぶりかで聞いたような気分になっていた。
封筒を見つめ黙り込んでいる私に、ノハラは頭の上から話しかけてきた。
「花穂も地元に戻って来たなら、一度参加してみたらいい。久しぶりに会う旧友はいいぞ!皆、ちっとも変わってもねーし」
ノハラを見上げながら、この人が一番変わってないな…と思った。
(でも、私は……)
「…考えとく、一応……」
下を向いて答えた。
何となく、涙が出てきそうになった…。
「まぁ出来るだけ来いよ!参加人数多い方が楽しいからさ!」
明るく言うと、買い物もせず帰って行く。
この封筒を渡す為に、わざわざ寄ったんだと、後になって気づいた…。