水平線の彼方に( 上 )
「中身、ラブレターだったりして…」

昨日、元カレですか?と聞いたバイト仲間が囁いた。

「冗談よして…!それ絶対ないから!」

笑うに笑えない。顔が変に引きつった。

家に帰ってからも、暫く中身を開けられなかった。
意を決して取り出し、紙を広げたら…。

『第四十五期生 同窓会 全員集合 ‼︎ 』

大きな文字で印字してある他は、日時と場所と幹事名だけ。

「何なの…これ…」

あっさりしていると言うか、まぁ、分かり易いって言えば、そうだけど…。

(こんなの考えるの、アイツしかいない…)

自分の口元に、微かに笑みが浮かんだ。
飾りも何もない案内状に誘われて、出てみようか…って気に、少しだけなれた。

(もしかしたら、笑えるようになるかもしれない…)

ノハラの言う通り、久しぶりに旧友と会えば、嫌なことも、忘れられるかもしれない。
忘れられなくても、多分、気分転換にはなる…。


棚に片付けられた卒業アルバムの背表紙。

十二年前に卒業した中学校の校舎が、

…懐かしく、思い返されていた……。
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