水平線の彼方に( 上 )
土曜日「とんぼ」へ行くと、店長に謝られた。
「この間悪かったねー、眠くなるような物飲ませて」
「あ…いえ、私の方こそすみませんでした…同窓会の時と言い、この前と言い、二度も酔い潰れてしまって…」
恐縮する。自分がこんなにお酒に弱いとは、この最近まで知らなかった…。
「真悟が心配してさ、もう酒飲まさねーって、ブツブツ言ってたよ。暫く放っといたんだけど、迷惑になるからって送って行った」
襲われなかった?…と冗談を言う。それにブンブンと首を横に振った。
「とんでもない!目が覚めたら家で寝てました」
「そうかー、あはは…」
奥さんまで一緒になって笑っている。私、相当眠り込んでいたらしい。
「ところであの…ノハラは…?」
キョロキョロと店内を見回した。
「…そうそう!さっき電話があって、仕事でこっちに来れないから自宅の方に来て欲しいって言ってたんだ。ほらこれ」
メモ用紙に書かれた住所を見せられた。
「仕事しているからそっちに来てくれって事だったよ」
「そうですか…」
(つまり、あの温室に来いってことなんだな)
そう理解して店を出た。
今日は飲む気じゃなかったから、バイクで来ていて助かった。
メモを頼りに走らせて十分、覚えのある垣根が見えてきた。
(多分、あそこよね…)
道端に置いてあった軽トラを確かめ、バイクを止める。
垣根を横切り中へ入ると、庭先に見える大きな木と温室。そこがノハラの家であることは、間違いなかった。
「お邪魔しまーす…」
一応ことわって敷地に足を踏み入れる。
手入れの行き届いた庭を歩き、温室まで辿り着いた。
中には電気がついていて、確かに誰かいるようだった。
戸に手をかけて中へ入ると、もう一枚戸がある。
(へぇー二重なんだ…)
理由も知らずに感心して二枚目の戸を開けた。
「うわ…グリーン一色…」
思っていたよりも中は広い。土の上に置かれた植物の鉢は、整然と並び、見栄えもいい。
「ホントに意外……」
子供の頃のノハラからは、考えられないような繊細な仕事。
いつからこんな性格に変わったのか、それとも元々なのか…。
「それにしてもこの中、あったかい…」
上着も要らないような感じ。まるで植物園の温室だ。
辺りの鉢の周りを、キョロキョロと探す。ノハラが何処にいるのか見当もつかない。
「ノハラー!いるのー?」
大きな声で呼んでみた。
「ノハラー⁉︎ 」
叫ぶように言ったら、ようやく返事があった。
「おーっ、こっちこっち!奥にいる!」
(なんだ…)
真っ直ぐ突き進んで行くと、広くなっている所があった。そこでノハラは、グリーンを梱包していた。
「悪いな、急に場所変えて。明日納品あるから今日のうちに準備しときたくて」
言い訳しながらも手を止めずに作業する。その手際の良さを、感心しながら見つめていた。
「お前、見てないで少し手伝えよ。そしたら早く終わるから」
梱包材を持てとばかりに手渡す。その強引さは、子供の頃と変わらない。
「なんで私が……」
そう言いながらも手伝わされている。これじゃー子供の頃と一緒だ…。
「この間悪かったねー、眠くなるような物飲ませて」
「あ…いえ、私の方こそすみませんでした…同窓会の時と言い、この前と言い、二度も酔い潰れてしまって…」
恐縮する。自分がこんなにお酒に弱いとは、この最近まで知らなかった…。
「真悟が心配してさ、もう酒飲まさねーって、ブツブツ言ってたよ。暫く放っといたんだけど、迷惑になるからって送って行った」
襲われなかった?…と冗談を言う。それにブンブンと首を横に振った。
「とんでもない!目が覚めたら家で寝てました」
「そうかー、あはは…」
奥さんまで一緒になって笑っている。私、相当眠り込んでいたらしい。
「ところであの…ノハラは…?」
キョロキョロと店内を見回した。
「…そうそう!さっき電話があって、仕事でこっちに来れないから自宅の方に来て欲しいって言ってたんだ。ほらこれ」
メモ用紙に書かれた住所を見せられた。
「仕事しているからそっちに来てくれって事だったよ」
「そうですか…」
(つまり、あの温室に来いってことなんだな)
そう理解して店を出た。
今日は飲む気じゃなかったから、バイクで来ていて助かった。
メモを頼りに走らせて十分、覚えのある垣根が見えてきた。
(多分、あそこよね…)
道端に置いてあった軽トラを確かめ、バイクを止める。
垣根を横切り中へ入ると、庭先に見える大きな木と温室。そこがノハラの家であることは、間違いなかった。
「お邪魔しまーす…」
一応ことわって敷地に足を踏み入れる。
手入れの行き届いた庭を歩き、温室まで辿り着いた。
中には電気がついていて、確かに誰かいるようだった。
戸に手をかけて中へ入ると、もう一枚戸がある。
(へぇー二重なんだ…)
理由も知らずに感心して二枚目の戸を開けた。
「うわ…グリーン一色…」
思っていたよりも中は広い。土の上に置かれた植物の鉢は、整然と並び、見栄えもいい。
「ホントに意外……」
子供の頃のノハラからは、考えられないような繊細な仕事。
いつからこんな性格に変わったのか、それとも元々なのか…。
「それにしてもこの中、あったかい…」
上着も要らないような感じ。まるで植物園の温室だ。
辺りの鉢の周りを、キョロキョロと探す。ノハラが何処にいるのか見当もつかない。
「ノハラー!いるのー?」
大きな声で呼んでみた。
「ノハラー⁉︎ 」
叫ぶように言ったら、ようやく返事があった。
「おーっ、こっちこっち!奥にいる!」
(なんだ…)
真っ直ぐ突き進んで行くと、広くなっている所があった。そこでノハラは、グリーンを梱包していた。
「悪いな、急に場所変えて。明日納品あるから今日のうちに準備しときたくて」
言い訳しながらも手を止めずに作業する。その手際の良さを、感心しながら見つめていた。
「お前、見てないで少し手伝えよ。そしたら早く終わるから」
梱包材を持てとばかりに手渡す。その強引さは、子供の頃と変わらない。
「なんで私が……」
そう言いながらも手伝わされている。これじゃー子供の頃と一緒だ…。