水平線の彼方に( 上 )
「……大丈夫…倒れただけだから…」
辛うじて泣くのを堪えた。来る筈のない人に頼ろうとした自分が愚かだった…。
「立てるか?」
手を貸し、立たせてくれる。
「お前…顔真っ青だぞ…」
震えているのに気づいたらしい。
「……ビックリして…危うく…自分がぶつかりそうだったから…」
唇までが、小刻みに震えていた…。
「とにかく、こっちに来て座っとけ」
路肩に連れて行かれた。
間もなく到着したパトカーと救急車が、救助活動を始める。騒然とする中、乗用車の運転手が運び出された。
「そちらの方、お怪我はありませんか?」
警察官の一人が声をかけてきた。
「…大丈夫です…倒れただけですから…」
青い顔で答えると、事故の状況を見てないかと聞く。
座り込んだまま、自分の目の前を、乗用車が横切ったことを説明した。
「少しぼんやりしていたので…気づくのが遅れて…慌ててハンドルを切ったらバランスを崩して倒れて…その直後に…車がぶつかる音がしたので…」
トラックと乗用車の方に視線を向けた。
「では衝突の瞬間は見ておられないんですね?」
「はい…何も…」
納得したように頷き、警察官は去った。
横で話を聞いていたノハラは、短く息を吐いてしゃがみ込んだ。
「良かったな…何事もなくて…」
安心したような顔をした。
「…うん……ノハラ、ありがと…」
同級生とは言え、側に人がいる事が嬉しかった。でも、いつまでも甘えている訳にはいかないーーー
「…帰っていいよ、ノハラ。…私、落ち着いたら動けるから…」
まだ震えているけど、時間が経てば大丈夫そうな気がしていた。
「明日は披露宴もあるし、気にせず…私なら大丈夫…」
強がって見せた。なのに、ノハラは怒ったような顔で言い返してきた。
「お前、そんな青い顔してるのに、一人にできるわけねーだろ⁉︎ 何言ってんだよ!」
ふざけんな…と、憤っている。
こっちはわざわざ気を遣ったのに…と、恨めしくなった。
「…じゃあもういい…」
ふてくされて下を向いた。誰かが側にいてくれるのは有難い。でも、同時に苦しくもあった…。
辛うじて泣くのを堪えた。来る筈のない人に頼ろうとした自分が愚かだった…。
「立てるか?」
手を貸し、立たせてくれる。
「お前…顔真っ青だぞ…」
震えているのに気づいたらしい。
「……ビックリして…危うく…自分がぶつかりそうだったから…」
唇までが、小刻みに震えていた…。
「とにかく、こっちに来て座っとけ」
路肩に連れて行かれた。
間もなく到着したパトカーと救急車が、救助活動を始める。騒然とする中、乗用車の運転手が運び出された。
「そちらの方、お怪我はありませんか?」
警察官の一人が声をかけてきた。
「…大丈夫です…倒れただけですから…」
青い顔で答えると、事故の状況を見てないかと聞く。
座り込んだまま、自分の目の前を、乗用車が横切ったことを説明した。
「少しぼんやりしていたので…気づくのが遅れて…慌ててハンドルを切ったらバランスを崩して倒れて…その直後に…車がぶつかる音がしたので…」
トラックと乗用車の方に視線を向けた。
「では衝突の瞬間は見ておられないんですね?」
「はい…何も…」
納得したように頷き、警察官は去った。
横で話を聞いていたノハラは、短く息を吐いてしゃがみ込んだ。
「良かったな…何事もなくて…」
安心したような顔をした。
「…うん……ノハラ、ありがと…」
同級生とは言え、側に人がいる事が嬉しかった。でも、いつまでも甘えている訳にはいかないーーー
「…帰っていいよ、ノハラ。…私、落ち着いたら動けるから…」
まだ震えているけど、時間が経てば大丈夫そうな気がしていた。
「明日は披露宴もあるし、気にせず…私なら大丈夫…」
強がって見せた。なのに、ノハラは怒ったような顔で言い返してきた。
「お前、そんな青い顔してるのに、一人にできるわけねーだろ⁉︎ 何言ってんだよ!」
ふざけんな…と、憤っている。
こっちはわざわざ気を遣ったのに…と、恨めしくなった。
「…じゃあもういい…」
ふてくされて下を向いた。誰かが側にいてくれるのは有難い。でも、同時に苦しくもあった…。