水平線の彼方に( 上 )
ノハラは三つ目の約束を、少し間を持たせて語った。
「長い交際期間を経て、今日に辿り着いたと思います…。二人にしか分からない思いや出来事も、きっと沢山あると思います…。それらを全て忘れる事なく、今日という日を大事にして下さい。友人として、二人の門出を、心より祝福したいと思います。…本当に、おめでとうございます‼︎ 」
会場内から拍手が湧いた。
平井君達も立ち上がって、拍手をしている…。
ノハラが振り向き微笑んだ。それに合わせて、自然と笑みがこぼれた。
席に戻ると、私はドッと疲れてテーブルに伏せた。
「花穂…大丈夫⁈ 」
「良かったよ、花穂…面白かった!」
モコとあーやが褒めてくれる。これも全て、ノハラとの練習があったからだと感謝した。
お礼を言おうと横を向いた。でも、ノハラは席におらず、平井君達の所に行っていた…。
「ノハラの話、良かったね。最初は面白い事言うのかと思ったら、ちょっと感動的だった…」
モコがそう言ってノハラを見た。
「ホント。結婚式の日って、何かと忘れがちだけど、一生に一度しかないから、忘れちゃダメだよね…なんか教えられた感じ…」
普段は開放的なあーやも、この時ばかりは神妙な顔つきをしていた。
「ノハラって…中学の頃より大人になったね…さり気なく恋愛のイロハみたいなの語って…恋人とかいるのかな…」
モコが私を見る。
スピーチの練習をしている間、彼からそんな話を聞いたことは一度もなかったから、アッサリ答えた。
「私…知らないよ」
あーやが笑った。
「花穂が恋人じゃないんだ!」
「…えっ⁉︎ なんでそうなるの⁉︎ やめてよ!」
ほぐれてきた緊張を覚えながら、三人で笑って過ごした。
久しぶりに何も考えず、楽しいひと時だったーーー。
二次会の席で、砂緒里は改めてお礼を言いに来た。
「花穂、今日は本当にありがとう。無理言ってゴメンね…」
しおらしい態度に、ううん…と首を横に振った。
「気にしなくていいよ…ノハラも付いてたし…お陰で心強かった…」
そう答えると、砂緒里は私に抱きついてきた。
「スピーチなんて、する心境じゃなかったと思うのに…ゴメンね…ホントに…」
驚いて彼女を見た。身体を離し、申し訳なさそうな表情をして見せた。
「何があったかは聞かないけど…話せるようになったら話して…。私達、親友でしょ⁈ 」
ねっ…?と、首を傾げる。
私に何かあった事を、きっと砂緒里なりに感じていたのだ。
「……ありがとう…いつか話せる時が来たらね…」
そう呟いて涙した。
優しく背中をさする彼女が、これからもずっと、幸せであって欲しい…。
(私のように、悲しい涙を流すことのないように…。笑って過ごせるように…)
祈りながら、素敵な親友が側にいてくれることを、改めて思い知った……。
「長い交際期間を経て、今日に辿り着いたと思います…。二人にしか分からない思いや出来事も、きっと沢山あると思います…。それらを全て忘れる事なく、今日という日を大事にして下さい。友人として、二人の門出を、心より祝福したいと思います。…本当に、おめでとうございます‼︎ 」
会場内から拍手が湧いた。
平井君達も立ち上がって、拍手をしている…。
ノハラが振り向き微笑んだ。それに合わせて、自然と笑みがこぼれた。
席に戻ると、私はドッと疲れてテーブルに伏せた。
「花穂…大丈夫⁈ 」
「良かったよ、花穂…面白かった!」
モコとあーやが褒めてくれる。これも全て、ノハラとの練習があったからだと感謝した。
お礼を言おうと横を向いた。でも、ノハラは席におらず、平井君達の所に行っていた…。
「ノハラの話、良かったね。最初は面白い事言うのかと思ったら、ちょっと感動的だった…」
モコがそう言ってノハラを見た。
「ホント。結婚式の日って、何かと忘れがちだけど、一生に一度しかないから、忘れちゃダメだよね…なんか教えられた感じ…」
普段は開放的なあーやも、この時ばかりは神妙な顔つきをしていた。
「ノハラって…中学の頃より大人になったね…さり気なく恋愛のイロハみたいなの語って…恋人とかいるのかな…」
モコが私を見る。
スピーチの練習をしている間、彼からそんな話を聞いたことは一度もなかったから、アッサリ答えた。
「私…知らないよ」
あーやが笑った。
「花穂が恋人じゃないんだ!」
「…えっ⁉︎ なんでそうなるの⁉︎ やめてよ!」
ほぐれてきた緊張を覚えながら、三人で笑って過ごした。
久しぶりに何も考えず、楽しいひと時だったーーー。
二次会の席で、砂緒里は改めてお礼を言いに来た。
「花穂、今日は本当にありがとう。無理言ってゴメンね…」
しおらしい態度に、ううん…と首を横に振った。
「気にしなくていいよ…ノハラも付いてたし…お陰で心強かった…」
そう答えると、砂緒里は私に抱きついてきた。
「スピーチなんて、する心境じゃなかったと思うのに…ゴメンね…ホントに…」
驚いて彼女を見た。身体を離し、申し訳なさそうな表情をして見せた。
「何があったかは聞かないけど…話せるようになったら話して…。私達、親友でしょ⁈ 」
ねっ…?と、首を傾げる。
私に何かあった事を、きっと砂緒里なりに感じていたのだ。
「……ありがとう…いつか話せる時が来たらね…」
そう呟いて涙した。
優しく背中をさする彼女が、これからもずっと、幸せであって欲しい…。
(私のように、悲しい涙を流すことのないように…。笑って過ごせるように…)
祈りながら、素敵な親友が側にいてくれることを、改めて思い知った……。