水平線の彼方に( 上 )
「……ひでぇ言い方……」
涙と鼻水、零しながら顔を上げた。
真っ赤な目をしたノハラが、こっちを向いていた…。
「…お前が泣くなよ…オレが泣けなくなるだろ…」
困ったように、口元が緩む。
それを見て、ぎゅっと唇を噛んだ。
「…ごめん…」
力になりたいとか偉そうに言った割に、自分の方が泣いている…。これでは確かに、役に立たない…。
「もう泣かないから…」
ゴシゴシ顔を擦る。
見兼ねたように、ノハラがティッシュペーパーを取った。
「ありがと…」
やっぱり気を遣わせている。何も役に立ってない…。
「私…悔しくって…。何年もそうやって、自分を責めてきたのかと思うと…なんだか頭に来て…バカだよ…ノハラは…」
失った人は戻らない。
終わってしまった過去は変わらない。
それが悔しくて堪らない程、大事なんだという事は分かるけど…。
「だから…それがひでぇって、さっきから言ってんだよ…。こっちが傷ついてんのに、バカバカ言ってさ…」
泣くのを諦めたらしい。愚痴になってきた。
「ごめん…」
もう黙っとく。口を開くと非難ばかりする。
(自分の事は棚に上げてね…)
下を向いて反省。その頭に手が乗った。
「おいっ、そんなに謝るな!オレは有難かったよ!泣かせてもらえて…」
ぽんぽんと頭を撫でられた。子供のような扱いに、顔を上げた。
「…ありがとな。お前のおかげで、少し気が楽になった…。感謝する…」
薄っすら涙を滲ませてノハラが微笑んだ。
どこかスッキリした表情に、ほんの少し、ホッとしたーーー
涙と鼻水、零しながら顔を上げた。
真っ赤な目をしたノハラが、こっちを向いていた…。
「…お前が泣くなよ…オレが泣けなくなるだろ…」
困ったように、口元が緩む。
それを見て、ぎゅっと唇を噛んだ。
「…ごめん…」
力になりたいとか偉そうに言った割に、自分の方が泣いている…。これでは確かに、役に立たない…。
「もう泣かないから…」
ゴシゴシ顔を擦る。
見兼ねたように、ノハラがティッシュペーパーを取った。
「ありがと…」
やっぱり気を遣わせている。何も役に立ってない…。
「私…悔しくって…。何年もそうやって、自分を責めてきたのかと思うと…なんだか頭に来て…バカだよ…ノハラは…」
失った人は戻らない。
終わってしまった過去は変わらない。
それが悔しくて堪らない程、大事なんだという事は分かるけど…。
「だから…それがひでぇって、さっきから言ってんだよ…。こっちが傷ついてんのに、バカバカ言ってさ…」
泣くのを諦めたらしい。愚痴になってきた。
「ごめん…」
もう黙っとく。口を開くと非難ばかりする。
(自分の事は棚に上げてね…)
下を向いて反省。その頭に手が乗った。
「おいっ、そんなに謝るな!オレは有難かったよ!泣かせてもらえて…」
ぽんぽんと頭を撫でられた。子供のような扱いに、顔を上げた。
「…ありがとな。お前のおかげで、少し気が楽になった…。感謝する…」
薄っすら涙を滲ませてノハラが微笑んだ。
どこかスッキリした表情に、ほんの少し、ホッとしたーーー