水平線の彼方に( 上 )
「お店忙しかったから…疲れてるのかも……帰る」
お邪魔しましたと、他人行儀な挨拶。
戸口に手をかけ、開けようとした。
「花穂…」
名前を呼ばれ振り向いた。
タバコの香りが近づいて、えっ…と驚いた。
「ありがとな…」
ハグされた…。
大事なもの包み込むみたいに、優しく…。
急なことで、心臓が止まりそうなくらいだった。
顔の側に、彼の胸がある。
こんな間近に、男性を感じたのは久しぶりだった…。
ドキドキ鳴り出す心音。
それと同時に腕が解けて、戸を押し開けた。
走り出すように歩き、バイクにキーを差す。
全身の力が急に抜けて、その場にしゃがみ込んだ。
ボロボロ零れ落ちてくる涙、膝を抱え込んで泣き声を止めた……。
(ノハラのバカ…!もう…友達だって思えないじゃん…)
自分の気持ちが分かった。
いつの間にか、思っていた以上に、彼のことが好きになっている…。
(…こんな気持ち、持たくなかったのに…)
震える肩を両手で包んだ。
ノハラのタバコの残り香が、消えずに染み付いている…。
もう二度と、友人に戻れない…。
困惑と腹立たしい気持ちとが入り混じり、
いつまでも
切なくさせたーーーー…
お邪魔しましたと、他人行儀な挨拶。
戸口に手をかけ、開けようとした。
「花穂…」
名前を呼ばれ振り向いた。
タバコの香りが近づいて、えっ…と驚いた。
「ありがとな…」
ハグされた…。
大事なもの包み込むみたいに、優しく…。
急なことで、心臓が止まりそうなくらいだった。
顔の側に、彼の胸がある。
こんな間近に、男性を感じたのは久しぶりだった…。
ドキドキ鳴り出す心音。
それと同時に腕が解けて、戸を押し開けた。
走り出すように歩き、バイクにキーを差す。
全身の力が急に抜けて、その場にしゃがみ込んだ。
ボロボロ零れ落ちてくる涙、膝を抱え込んで泣き声を止めた……。
(ノハラのバカ…!もう…友達だって思えないじゃん…)
自分の気持ちが分かった。
いつの間にか、思っていた以上に、彼のことが好きになっている…。
(…こんな気持ち、持たくなかったのに…)
震える肩を両手で包んだ。
ノハラのタバコの残り香が、消えずに染み付いている…。
もう二度と、友人に戻れない…。
困惑と腹立たしい気持ちとが入り混じり、
いつまでも
切なくさせたーーーー…