嘘恋





「何食べっかなぁ」







成瀬くんはなにやらがっつり食べたいらしくハンバーグを見ていた。








なに食べよう…。





ここはやっぱり、女子らしく少食でいったほうがいいのでは?





ガツガツ食べたら下品だと思われそうだし…。






「俺、これにするけどお前は?」










「あたしは…クリームソーダで」









「えー?お腹すいてないの?せっかくなんだしガッツリ食べろよ」










「えー?そう?なら特大パフェで」








「特大!?ぶはっ!お前らしいな」








「なっ、そっちが食べろっていったんでしょ!」







なにさなにさと、恥ずかしくなってるあたしを見て成瀬くんは優しく笑った。









「そういう子、好きだよ」








「…っ」








ほら、またそうやって。

あたしを期待させる。







「すいませーん」







店員さんを呼んでそれぞれ注文する。










「おまたせしましたー。特大パフェとハンバーグの大盛りでーす」







…なんか。






「俺たち、なんか大食いカップルみたいじゃね?」







「ほんとにね。ちょっと…恥ずかしい」








「そうか?気にすんなって。さぁ食え食え、俺のおごりな」









「え!?いいよそんな。服も買ってもらったのに」









「いーのいーの。金だけならいくらでもあるからよ」








「なんかごめんね?…ありがと」










「ん」









そして黙々と食べ始めた成瀬くん。





そういえばさっき流された話、もう一回聞いてみようかな。








「ねぇ成瀬くん」








「んぁ?」








「どうして今日、あたしを誘ってくれたの?」








「どうしてって、なんで?」







「だって、あたしじゃなくても他に仲のいい友達とかいるでしょ?前の席の子、一緒に行きたそうだったのに」







ほんとはね、



おこがましいけど、あたしが特別だからって、言ってほしかったんだ。







少しだけ、期待してたの。







「だってさぁ気つかわね?そんな仲良くない奴と遊ぶのってさ。」








「そうなの?」







「それに気の多い女嫌いなんだよ。正直困るし。振る側の俺の気持ちも考えてほしいって。」








「…え?」






困る…?






「唯一、お前の前では俺素でいられるんだよな〜。香奈はそういう感情とかなさそうだから安心してこうして遊べるんだよ」











ショックだった。








あたしが成瀬くんに恋愛感情がなさそうだから一緒に居られる?





あたしがあれだけわかりやすくアプローチしてたのに気づかなかったの?




伝わらなかったの?









違う。





あたしはそういう特別になりたかったわけじゃない。







今日、前から想ってたあんたに
告白をしようと決心してたのに。






そんなこと言われたら…なにも言えないじゃん。









「…ごめん。あたし帰る」








「は?どした急に」









やばい…泣きそう。





荷物を持ってそそくさと席を立った。







「おい…香奈!」








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