嘘恋
「あ、そうだこれ」
成瀬はベットから起きて、引き出しの中から何かを取りだした。
「…え?」
「合鍵。いつでも来ていいから」
作りたてのピカピカしてるカギ。
合鍵だ。
「ほんとは同居したいんだけどさ」
「同居かぁ…いいね!」
「え、まじ?」
「もちろん!あたし実家に住んでるからさ。明日荷物もってくるよ」
「…そっか」
…この子は。
どんだけ嬉しそうに笑うのさ。
「なっ、そんなに嬉しいのー?」
「あたりまえだしバーカ」
ったく。あたしまで照れちゃうじゃん。
「なぁ、俺今すっげー幸せ」
「ん?なにいきなり」
「だから…」
「ん?」
長い沈黙。
その先の言葉を待っていると、困ったように笑ってあたしの頭を撫でた。
「やっぱなんでもない」
「…そっか」
なんとなく、わかったよ。
シオンが言いたかったこと。
きっとシオンは、その先の言葉を言ったらあたしを困らせると思ったんでしょ?
待ってるなんて、そんなの優しい嘘だって知ってる。
でもね、だからこそあたしは何も聞かない。
「たのしみだなぁー!シオンと同居」
「俺もー。毎日イチャイチャできるもんな」
「うわ、変態ー!」
「変態だけど?」
すると、グイッと引き寄せられて軽くキスをされた。
「…もぅ」
「好きだよ」
「うん、あたしも」
そして、また唇を奪われて
あたし達はベットに倒れた。