嘘恋
『あれカップルかな?』
『そうじゃない?彼氏さんちょーイケメンじゃん!』
…お?
さすがあたしの彼氏。
うんうんっとひっそり耳を傾けていると
こんどはあたしの話題が聞こえてきた。
『なんか彼女さん小さくてかわいい』
ち、ちいさいだと。
『ほんとだね。なんか子供みたい!』
「なっ…!」
「ぷぷっ」
…今笑った!?
ばっとシオンを睨むと、緩んでいる顔を急に引き締めてそっぽむいた。
こんにゃろ…。
「ふんっ!どーせあたしはチビでガキですよーだ」
「わざわざホントのこと言わなくてもいいのにな」
「…あんたねぇ」
「ま、チビなのはホントのことじゃん」
ポンポンっとシオンがあたしの頭を撫でた。
まるで見下されてるみたいなんですけど。
「あんたがデカイからあたしがチビに見えるのよ!」
「チービ」
「うるさいうるさーぃ!」
「でも抱きしめやすいから、そのくらいが俺には丁度いいよ」
「…ふ、ふーん?」
サラッと言うこいつの言葉に
あたしはいつでもドキドキしてしまう。
「何照れてんだよっ」
「はぁ?」
そう言って彼を見上げて睨みつけようとしたけど…
シオンの顔も赤っ!!
「シオンだって顔赤いじゃーん!」
「はぁ?赤くねーし」
「恥ずかしいなら言わなきゃいいのに」
「っるせーな…ただ暑いんだよ」
「ぷぷぷっ」
素直じゃないんだから。
「お前、帰ったら覚えとけよ?」
「はいはい。お腹すいたから早くいこー!」
「…ほんとお前は」
「ん?なんか言ったー?」
「なんも」
差し出された手を握って、バイキングに向かった。