嘘恋
「お前酔っ払って大変だったんだぞ?それに俺が気づかなかったらタクヤに襲われてたんだからな」
「タクヤ?」
名前を言われても誰が誰なのかわからない。
まったく記憶にございません。
「お前をつれて、タクヤが部屋出て行こうとしたところを俺が見つけて殴り飛ばしたってこと。下着なんて丸見えだったし」
「え!?うそ!なんで!?」
「お前が、自分で脱いだんだよ。暑いとか言って」
うそ…。
慌てて成瀬くんに背を向けてチラッと自分の胸を観察した。
うっ…。
知らない人に見られるなんて…!
しかも大好きな成瀬くんにも見られたなんて恥ずかしすぎる!
「もーむりっ…。今度会ったらどんな顔していいかわかんないよぉ」
布団に顔を押し付けると
成瀬くんの腕があたしの体をギュッと抱きしめた。
「え…成瀬くん?」
「会わせるわけねーだろ。…最悪。こんなことならカラオケなんか行かなきゃよかった」
私の首筋に成瀬くんの顔が埋まる。
これは…ヤキモチなのかな?
「なんなんだよお前も。俺以外のヤツに見せたりすんなばーか」
「…ごめんなさーい」
なんて言ってもあたしの口元はゆるゆるだ。
だって…嬉しすぎるよ。
成瀬くんに見えない位置で
密かに微笑んだ。