嘘恋
第二章

これ、なに?





誕生日もすぎて、夏休みもあっという間に終わり季節は秋。

ミカが誕生日にくれたマフラーをつけて今日も成瀬の家へ向かう。

鮮やかだった景色も
今じゃ枯れて殺風景。

…秋は嫌い。
暗いし、絶妙に寒いし、なに色にも染まらない。

今日は成瀬とのデートの日。
と言っても休みがあれば成瀬と過ごしてるからもう日常になっちゃってるけど。


「あー。さっぶ!」

成瀬がくれた合鍵を持って中へと入る。

「おじゃましまーす!」

とりあえず玄関で待っているとひょこっと顔を出した成瀬。
寝ぐせがビョンビョン立って、ダルそうにあくびをもらしていた。

「もしかして、寝てた?」

「寒くてなかなか布団から出れなくてさ。中入って〜」

成瀬につられて部屋の中へと向かう。


コートを脱いでベットに腰を下ろした。


「かーな。布団来て」
  
そんなあたしに手招きして布団に戻る成瀬。

「えー?寝るの?」

「寝ないけどさみーもん」

「せっかくデート楽しみにしてたのに」

わざとふくれるとははっと笑った成瀬があたしの頭を撫でた。

「そうだ、香奈がくるからお菓子とかジュースいっぱい買っておいたんだ。」

そう言って楽しそうに笑って布団からぬくぬくと出てきた。

「今日はお菓子パーティしよーぜ!」

「うんっいーね!」

「じゃ先下降りて支度しとくから。ゆっくりしてて」

「わかったー」

彼が部屋を出て行った後、改めて部屋の中を見回した。
なにやら車の雑誌がたくさんある。
あとはマンガ本とか、医学の本もあった。

医学の本って…意外と勉強してるのかな。




その時、ふと目に入ったもの。



「…あれ?」



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