嘘恋





どうしていいかもわからず、近くの公園のベンチに腰を掛けた。










…家に帰ればあいつがいる。







香奈は、待ってたよって迎えてくれるんだろうなぁ。








早く帰ってあげないと、また不安にさせるのに。




なにやってんだ、俺は。




帰れよ。




そう自分に言い聞かせるのに、足が動かない。









香奈の前で、何事もなかったように振る舞えるのだろうか。








香奈は俺のことを2年間想ってくれてた。





だからこそ、あいつだけにはウソつけない。










家には…帰れない。









すると、電話が鳴った。











ディスプレイには父さんと表示されてる。









もしサナの言っていたとおり父さんが俺と住むって言ってるのなら





俺は外国で父さんと住むことになるかもしれない。








きっと一度あっちに住んだら、こっちには帰ってこれないと思う。





香奈にも、会えなくなる。











そんなの、嫌だ。









通話ボタンを押して耳に当てた。

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