嘘恋
次の日から俺は学校を休むようになった。
悩みまくってるせいで睡眠も十分にとれてない。
ただ、毎日鳴り響く着信音が俺の胸をしめつけた。
そして、今日もディスプレイには香奈の名前。
…ごめんな。
そう心の中で呟いて見ないふりをする。
もう、一週間たったのに今だに決められてない。
時間だけが
ただただすぎていく。
家にいられなくて、とっさにあるやつに電話をかけた。
「…んぁ?」
「よっ!」
「おー。成瀬?久しぶりだなぁ」
「リュウも元気だった?」
「あったりまえだろ」
リュウは幼稚園からの幼なじみ。
高校で離れてからは時々連絡をするくらいで今年は一回もしてなかった。
「最近連絡ないと思ったけど、今日学校じゃねーの?休み?」
「…ん。」
「…へー。ま、俺もだけど。なんかあったんだろ?」
「…え?」
「学校休んだわりには風邪ひいてないしな。それに元気ないじゃん」
「ははっ。…ほんと、いろいろありすぎてさあ」
こいつの声を聞いてると
なんだか安心する。
小さい頃からの付き合いだからかな。
「なら、おれんちこいよ。場所おぼえてるだろ?」
「覚えてる」
「じゃあな」
上着を持って玄関に向かう。
その時バッタリと母さんに会った。
「…咲夜」
「出かけてくる」
そう言ってそそくさに家を出た。
あの日以来、母さんとはあまり口も聞いてない。
根に持ってるわけじゃない。
でも、とにかく今は考えたいから。
母さんと話すことなんてない。