嘘恋
部屋を見渡してるとガチャっとドアが開いた。
「なにジロジロ見てんだよ。エロ本ならもうねーぞ」
「ははっ。探してねーよ!」
「つかなんか、お前痩せたんじゃね?ちゃんとメシ食ってる?」
「…まぁまぁかな!」
「なんだよまぁまぁって…」
ぶつぶつ何か言いながら俺の向かえにどかっと腰を下ろした。
「で?なにがあったんだよ」
「…サナのこと、まだ覚えてる?」
「覚えてるよ。あの美人な彼女だろ?まだ続いてんのか?」
「もう別れた。…それに今は新しい彼女がいるんだ」
「…別れたぁ!?なんでだよあんなに幸せそうだったのに」
「一方的に振られたんだよ。理由も言わないでさ、いきなり俺の前から消えたんだ」
「…なんだそら」
「まだ引きずってたけど、それでもいいって言ってくれた女がいてさ。彼女と付き合ってからすっげぇ幸せでさ、あいつのことなんか頭になかった」
だけど、あの帽子が出てきた時からもう歯車はくるいじめてたんだ。
「なのにいきなり電話かかってきたんだよそいつから。癌だったから別れたのって。より戻したいって」
「…で?」
「俺の両親がさ、サナが入院してる病院の先生なんだ」
「確かお前の親、海外じゃなかった?」
「ん。で、サナのこと俺の両親すっごく気に入っててさ。サナが俺に会いたいってことを話したら、ならこっちで一緒に住むとか言い出したんだよ」
「はぁ?お前も海外?」
わけのわからない状況でイライラが隠せないようすのリュウ。
「母さんが来てさ、今の彼女と別れて一緒に帰ろうって言うんだ。ほんと勝手だよな。クリスマスまでに結果だせとかふざけてる」
「…結局は病気で長生きできないサナのために側にいてやるか、それともこっちに残って幸せに暮らすかってことか」
こくんっと頷くとはぁとため息を吐いていた。
「…実際言っちゃうとサナさんわがままじゃね?結局、自分が寂しくなったからお前に来いって言ってんだろ?」
「…ほんとな」
「だったら今付き合ってる彼女と一緒にいたほうがいんじゃねーの?突き放したらそっちのほうが可哀想だろ」
「…だよな」
「…でも、お前が迷ってるってことはサナさんに会いに行きたいって気持ちが少しでもあるから」
「…っ」
「ホントは決まってるんじゃねーの?お前の答え」