嘘恋







「…ほんと、俺わかんねぇ…」









リュウの言うとおり



ほんとは自分の気持ちに薄々気付いてた。









サナの病気のことを聞いて



心が揺れたあの時から。






…でも、



あんなにバカ正直におれに向かってくる香奈を








一途にずっと俺を想ってくれてたあいつを






振り払うことが、俺にはできない。








好きなのはホント。




ウソなんかじゃない。







確かにおれは香奈を愛した。



いまでもそれは変わらない。








なのに、どうしてもサナが俺の頭から離れないんだ。








未練なんて、もう消えたはずなのに。





…もう好きじゃないのに。








なんで…ほっておけないんだろう。










「…クリスマスまで、お前あと一週間しかねぇぞ。言うなら早めに今の彼女に言わねぇと」










「…わかってる」










「どっちを選ぶにしても、おれは応援するよ。」












「…ありがとな」











「おう」











あらためてリュウの存在が大きく感じた。







もう…俺つかれたよ。













俺が中途半端だから





サナと香奈を選べない。








きっと今だって香奈は不安で仕方ないと思うのに。







自分のことなのに一人じゃなにも解決もできない俺は弱虫だ。





「そろそろ帰るわ。…また連絡する」








「おう。気をつけろよ」









リュウに見送られながら家を出た。








…けじめ、つけなきゃな。

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