嘘恋
「ただいま」
俺の声をきいて駆け寄ってきた母さん。
「おかえり…答え決まった?」
「…ごめんもう少し待ってて」
そう笑って、自分の部屋に行きベットにダイブした。
あらためて携帯を開き、たまっている香奈からのメールを一つだけひらいた。
『なんで連絡くれないの?成瀬が離れていきそうで怖いよ』
…離れるつもりなんて、ないよ。
連絡先から香奈を選択して、耳に携帯をあてる。
するとワンコールで香奈は電話にでた。
「…っ成瀬のバカ!なにしてたの?ずっと待ってたのに!」
「…ごめんな、待たせて」
香奈のことだから、ずっと俺からの電話を待っていてくれたのかな。
ずっと、携帯を握りしめていたんだろうか。
「あたし、怖かった。あの日帰ってこなかったから。サナさんのところに行っちゃったんじゃないかって…」
…また泣いてる。
泣き虫だもんな、お前は。
弱くて、儚くて、目が離せない。
だから香奈にはさ、俺がそばにいないとダメなんだよ。
お前を置いてどっかにいけるわけないだろ。
「…心配させてごめん。家の用事が忙しくてさ!」
「…ねぇ成瀬」
「ん?」
「クリスマスは……一緒にいたい」
『クリスマス』
その日までには、おれは決断をしていなきゃいけない。
俺の選択で、香奈とクリスマスを過ごせるか過ごせないかが決まる。
…香奈を離したくない。
壊れそうな香奈を、突き放すなんて無理だ。
「…あぁ。あ、明日からは学校も行く予定だから!楽しみにしといてなっ」
「ほんとに!?よかった…」
「…うんっ」
少しでも
君の側に。