嘘恋
作戦二
ずばり遠回しに好きアピールをする!
ていうか
もう思いついたのはこれしかない。
成瀬くんにいつ彼女ができてもおかしくないから、早くあたしの気持ちに気付いてもらわなきゃ。
眠たいのか、授業中なのに思いっきり机に伏せている彼に小声で話しかけてみる。
「成瀬くん、ねてるの?」
反応はない。
「成瀬くんってさぁ性格いいし、優しいよね。あたしそういう人がいいと思うなぁ」
「……」
…あれ?反応なし?
もしかしてホントに寝てる?
腕の隙間から覗き込むと
ガバッといきなり顔を上げた。
「わ!びっくりしたぁ」
驚いた大きい声のせいで、みんなが一斉に振り返る。
「あ、いえ、すいません…」
「あんまり騒いでると追い出すぞー」
「はい!」
フゥゥとため息をつくと、関村があたしのことをじーっと見てることに気づいた。
「なに?」
「で?」
「…え?」
イスに深く腰掛けた成瀬くんは
腕を組んであたしを見つめた。
「俺に惚れた?」
「はぁ!?…なっ違うし!」
はっ、あたしのばか…。
や、たしかに違うくはないけど。
そんなストレートにいうか?
「うわ、振られたー」
「や、振ってはない!」
「お?じゃあ好きなの?」
「まっさかぁ。バっカじゃないのっ?」
慌てて興奮してるあたしを見て成瀬くんは面白そうに笑った。
「ほんと面白いな。香奈とは話しててあきない」
…彼の何気ない一言で
こんなに嬉しくなってる自分がいる。
『とは』って、
あたしだけ特別って捉えてもいんだよね?
「そんな…嬉しくないもん」
素直じゃないだけで
ほんとは喜んでるくせにね。
…もしかして、両思いとかだったりしないのかな。
だって、あたしだけじゃなくて成瀬くんも楽しそうだよ?
それに
好きじゃないやつに冗談でもさ振られて悲しいなんて、言うのかな?
「香奈のあだ名りんごちゃんにしよーっと」
「はぁ?やだやだ!」
「いーじゃん。かわいいっしょ」
ねぇ、もう伝えてもいいよね?
…よし
こうなったら。