嘘恋
違和感
いつもより早く起きて学校を出た。
浅い眠りのせいか、少し頭痛い。
自然と足が早まる。
今日…やっと成瀬に会える。
だけど早く来すぎてしまって教室にはまだ誰もいなかった。
…早く会いたい。
帰ってこなかったあの日
ほんとはね、
もう会えないんじゃないかと思った。
連絡がとれなくなって
学校にも来なくなって
サナさんのところへ行っちゃったんじゃないかって。
でも、ちゃんと成瀬はあたしのところに帰ってきてくれるって信じてるから。
信じることが、あたしにとって一番重要なことなのかもしれない。
なんてね。
信じることしか出来ない弱虫。
だめだね、あたし余裕ない。
あたしの席の隣は成瀬の席。
前みたいな日常に戻って、成瀬がここにいてあたしに笑いかけるの。
太陽みたいな笑顔で。
机に頬杖をついて窓を眺める。
…成瀬。