嘘恋
「…っ」
うっすら目を開けて、外の眩しさに目を細めた。
…朝だ。
寝返りを打って、また目をつぶる。
…あれ?
再び目を開けると隣にいたはずの成瀬の姿がない。
「…どこ?」
昨日のことが夢のように感じてきて
…不安になる。
服に着替えておそるおそる部屋を出てみた。
今はお母さんが家にいるんだっけ。
あ、でも二階には上がってこないって言ってたから大丈夫だよね。
二階の長い廊下を歩いてると、ひとつだけ微かにドアが開いているところがあった。
…あ、あそこかな?
そーっと、忍び足をしてひょこっと覗いてみた。
「なる…っ」
彼を呼ぶ声が止まる。
…なにしてるの?