嘘恋






「んー。それはどゆことだ」







「咲夜くん、モテるから彼女いないのかなーって思ってさ」










ただいまあたし、不機嫌です。







成瀬は今、前の席の女の子と楽しそうに雑談中。







好きな人が他の人と話してるだけでもイライラしちゃうあたしは重いんだろうか。






そんな光景を見たくなくて、ただ窓を眺めていた。








「なんで気になるのかなあ」







「ん〜まぁ知りたいからさ」








「お前、俺のこと好きなの?」








「えー!どうだろぉ」








「え、違うの?かなしー」








「や、嫌いなわけないっしょ!」










…最近になって、思ったことがある。




成瀬くんはとにかくフレンドリーだ。





そして、軽いのかノリがいいのか。




誰にでもこんなことをふつうに言うことがわかりました。










…特別だと、思っていたのに

みんなと同じ態度だったんだと思うと
なんだか悲しい。









「ちょ、かーな」








「…なによ」








「今日ひま?」










「ひま…だけど?」










「じゃあ遊びに行こーぜっ」










「えっ、あたしと!?」











「ったりめー」







うそ…。

あたしと成瀬くんが…?





まさか…誘われちゃうなんて!








するとその会話を聞いていた前の女子がいきおいよく振り向いた。









「それ、あたしも行きたい!」








え…。







「ごめんな。お前とはまた今度ね」









「ちぇ。はーい」









まてまてまてよ。
てことは…二人きり!?






もう、チャンスはこのデートしかない。







「じゃ、放課後外で待ってて。俺掃除終わったらいくから」










「わかった!」








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