嘘恋
リセット
目がさめると、自分の部屋にいた。
ここまでどう帰ってきたのか、よく覚えていない。
瞼が重い。頭が痛い。
昨日泣きすぎたせいだ。
窓からは大粒の雪が降っている。
……連絡は、なにもきてない。
携帯を置いて天井を見上げた。
ねぇ、成瀬。
あたし、まだ実感ないんだ。
成瀬はもういない。
それなのにね、まだ会える気がするの。
すぐそばにいる気がする。
連絡したら返信が来る気がしてる。
…あたし達ほんとに、終わったの?
そっと立ち上がり、制服に手をかける。
「…学校行かなきゃ」
学校に行ったら、もしかしたら居たりして。
ほんとはぜーんぶウソなんだよって、笑ってまた抱きしめてくれるんでしょ?
夢だよって
あたしを一人にできるわけないって
ねぇ全部、夢なんでしょ…?
また涙がこみ上げてきて声を上げて泣いた。
涙が止まらないのは、ホントはちゃんとわかってるから。
もうそばにいないことも
会えないことも。
その時視界に入ったもの。
机の上に丁寧に置いてあるプレゼント。
あたしが成瀬にと買ったピアス。
…渡すの忘れてた。
プレゼントを握りしめてバックに入れた。