嘘恋






「…ちょっと香奈っ」






学校に来たのに

やっぱり隣には成瀬はいなくて。









「あんたやっぱり変だよ?どうしたの」









ミカがあたしの頭を撫でる。







「…変なんかじゃない。成瀬を待ってるだけだよ」








席に着いたまま、成瀬を待っていた。






力が入り、クシャッと音を立てたプレゼント。





渡さなきゃ。


一生懸命選んだんだよ。



あたしばっかり貰ってばかりで、成瀬にはなにもあげられてなかった。






プレゼントを握りしめて、前だけ向いて。




誰もいない教室で待ち続ける。








「…咲夜はもうこっちにいないんでしょ?待ってたってくるわけないじゃん!」









「来るよ。成瀬なら来てくれる」








「香奈っ!」








「成瀬は優しいもん。いっつもあたしを見つけてくれる。ほっとけないってきっと来てくれるよ」








そんなあたしの肩を掴んだミカは、怒鳴るようにあたしの肩を揺らした。









「咲夜はもう来ないんだよ!これだけ待っても来ないでしょ!?」








わかってるよ。



外はもう暗くて、教室の明かりだけが照っていること。






…わかってる。








「くるって」









「現実見なよ!咲夜は、元カノ忘れられなくて海外行ったんでしょ?あんたは捨てられたの!」









「ちがうよ。違う。…違う」










「香奈…」









「ちがう…っ」








あれ、おかしいな。



なんで涙が流れるの。



悲しくなんてないよ?だって、かなしいことなんておこってないもん。








…ー現実逃避。









「香奈。もう…やめてよ」








そんなあたしをみてミカまで泣き出してしまった。







「…成瀬」









「香奈ってば!」










「成瀬に…」









あたし、会いに行く。








「香奈…!」










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