嘘恋
大学についてドアを開けると…
「やっぱり!」
真ん中らへんに座っているあの人はシオンさんだ。
隣空いてるし、座っちゃおう。
そーっと近寄って隣に座る。
「やほ〜」
「…なんでお前」
あたしを見て目を見開く彼。
「あたしもここの大学なの!同じだったなんて知らなかったなぁ」
ニコって笑うとウザそうにため息をつかれた。
あちゃぁ…。
いきなりだし、馴れ馴れしかったかな。
「…なんかごめんね?いいよ他いくから」
初対面にして、こんなベタベタされたら嫌だろう。
移動しようと荷物を持って立ち上がると…
こほんっと咳払いをしたシオンがあたしを見た。
「別にウザいなんて思ってないけど」
「…お?」
「早く座れば?もうすぐ始まるし」
…言い方そっけないけど、嫌がってはなさそう。
こういう性格の人なのかな。
「うん!」
隣に座って、またニコッと笑うと
困ったように頭をぽりぽりしていた。
何処と無く
似ている気がするの。
あの人に。
…ー この彼が
あたしの人生を変えていくことになる。