嘘恋
「ねぇねぇシオンくん」
「シオンでいいよ」
「シオンは、彼女いるの?」
「…いないよ。」
あ…。
桜を見上げていた時と同じ顔だ。
どこか切なくて、儚げな。
「…そっか。今日空いてる?一緒に語ろうよ!」
「はぁ?なんでお前と語んなきゃいけないんだよ」
「いーじゃん!ね?」
「…あのさぁ、彼氏欲しいなら他あたってくれない?俺おばさん無理」
「おばさん!?」
「出会い厨としか思えないんだけど。」
「ご、ごめん…そんなつもりじゃ…」
何処と無く成瀬に似ているから
距離感というものが掴めない。
というか、もう、おばさんで言われる年になったのね…。
ショックを受けてうつむいてると、また咳払いをしたシオンがあたしの頭をポンッと撫でた。
「あー悪かったよ。言いすぎた」
「いいのいいの。あたしが悪いよ…」
「………しかたねぇなぁ」
「え?」
「いいよ。行くよ」
「やったー!!」
強引に彼の腕を掴んでニコッと笑った。
「っおい」
「れっつごー!」
そう言ってスキップをしながら歩き出すと
シオンもやれやれと呆れながら歩き出した。