嘘恋
「すっごい広〜い!」
テレビの中で見たよりも広くて大きくて、眩しかった。
「時間あるし順番にまわっていこーぜ」
「うん!」
店の中も想像以上で、テンションの上がったあたしたちは本当に全部の店を隅から隅まで見て回った。
「あ、俺服買いたいんだけど」
「ん?買えばいいじゃん」
「じゃあさ、選んでよ」
「…え!?あたしが?」
ちょっとまてよ。
ここはあたしのセンスが試される場なのでは…?
ダサいのだったらこいつなにとか思われそうだし…派手なのでも気に入らなかったらセンス悪いとか思われちゃいそう…
「あ、考えなくていいよ?俺、服とかこだわらないしなんでも着るからさ」
「自分で選べばいいじゃん?」
「選んでもらたいんだよ、お前に」
…っ。
「まかせてください!」
「おう!よろしく」
大好きな成瀬くんのために
真剣に探し回りやっと見つけた服。
「おー、いいじゃん」
「ほんとに?」
「これ買おーっと。お金払ってくるからちょっと待ってて」
「うんっ!」
よかったぁ、気に入ってもらえて。
なんか疲れた…。
ぐたぁっと椅子に座って待ってると、
なにやら袋を二つ持った成瀬くんがあたしのもとへ歩いてきた。
あれ?
二つも買ったっけ?
あたしが選んだのは一つだけど
自分で選んだのも買ったのかな。
そんなことを思いながら立ち上がると
「ほら」
「え?」
あたしに差し出されたのは
二つのうちの一つの袋。
「付き合ってくれた、お礼?まぁ気にいるかわかんないけどさ」
「えぇ!そんな…いいの?」
「当たり前」
「…ありがと」
「おうっ」
嬉しくて
なんだから温かい気持ちになりました。
「腹減ったー。あそこ寄ろうぜ!」
「うんっ」