嘘恋
大学を出てケーキ屋さんでケーキを買いショッピングモールにきた。
「何がいいのかなぁ」
もう20だし、子供っぽいものだと引かれそう…。
年下の子に誕生日プレゼントなんて初めてだからな。
ふと気がつくと、見慣れたあの店の前に立っていた。
…ここは、あの人のプレゼントを買った店。
あの頃はただただ毎日が楽しくて
…幸せだった。
悩む気持ちも、悲しくなったり切なくなったりすることも
全部 いい経験だったんだよね。
…おかしいな。
今思い出すと楽しかった記憶の方がたくさんありすぎて自然と笑顔になるの。
「んー。ここにしよっ」
アクセサリーは買わない。
…そうだ、時計にしよ!
「これくださーい」
ついでに可愛い包装紙に包んでもらった。
シオン…喜んでくれるかな?