嘘恋
店を出て、シオンに電話をかける。
「…はい」
「あ、シオン?今からそっちいってもいい?」
「あぁ、いいよ。つか本当に来んのか」
「当たり前じゃん?言ったことは必ず守る主義なんで」
「そか。俺んち今から言うから、ちゃんと言った通りに来いよ?」
「まかせて!」
自信満々に答えると、「ほんとかよ…」と呟きが聞こえてきた。
「…やっぱいーや。俺迎えに行くわ」
「え、」
「今どこ?」
「おっきいお店の前…って、どんだけ信用ないのよあたしは!」
「道に迷われても困るし。お前ひとりじゃ危なっかしいだろ」
…あの、すいません。
あたしあなたより3個も年上なんですけど。
「…あのねぇあたしこれでも23なんだよ?大丈夫だってば」
「俺が心配なんだよ」
「…っうっさわね!早く教えてよ!」
すると、はいはいと説明し始めた。
「ー…わかったか?そしたら俺んちだから。んじゃな」
「はっちょっとちょっと、まってよ」
「なんだよ」
「…着くまで、電話切らないで?」
「あ?」
「…だから!着くまで電話切らないでほしいのっ」
「…なんだって?聞こえねぇな」
いやいやいや、聞こえないはずないから。
つか今まで会話してきていきなり聞こえなくなるとかおかしいよ?
…こんにゃろ。あたしをからかって楽しんでんのか。
年下のくせに…っ。
でも、ほんとに道に迷いそうなので。
「…シオンさん」
「はい、なんでしょうか」
「道に迷うそうなので…電話、切らないでもらえませんか」
「しかたねぇな。いーよ?」
「あんたって人は…」
あたしに慣れて本性出てきたな?
こんのっ…意地悪小僧め。
「じゃ、言ってくぞ」
「あ、はいはい」