嘘恋
俺は俺だから
次の日、重い足取りで大学に向かう。
廊下を歩いていると、まえから歩いてくる男の人。
…シオンだ。
慌てて目を逸らそうとしたけど、先に視線を逸らしたのは彼の方だった。
もしかして、嫌われたんだろうか。
……当たり前だよね。
最初に避けたのはあたしだ。
手放したのはあたし。
嫌われて当たり前。
…ゴソッ。
「え…?」
振り返るとシオンの後ろ姿。
今…なにかポッケに入れられた?
そっと自分のポッケに手を入れると
なにか違和感を感じた。