嘘恋






「…メモ紙?」





もう一度だけ振り返るとシオンはもういなかった。

綺麗に折られたメモ紙を開いた。







『昨日のことだけど、付き合ってくれんなら図書室で待ってる。ムリなら来なくていいから』







…昨日のこと。



もちろん返事なんて決められるわけなくて。





友達、としか思ってなかったのは事実。







もちろん嫌いじゃない、むしろ好きな方だ。








でも、どうしても重なるの。







…ー成瀬と。






一度見えてしまったものはなぜかずっとかわらなくて。






付き合うなら、もちろんシオンを見つめて





ちゃんとシオンだけを想っていたい。







紙を握りしめて、ポケットにしまった。








…あたしは。






< 98 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop