Distopia
バズーカやら火炎放射機なんてカワイイもので、更なる改良――改造――を加えれた殺傷力のみ重視された武器から、新種の麻薬に得体の知れない生物の乾物、最新のマイクロチップから形ない『情報』までまさに様々。
古今東西なんでもござれ、なんていうフザケタキャッチコピーが冗談ではないのだから、なんというかだ。


大通りをすり抜け、慣れた足取りで路地を曲がっていく。

くたびれたパーカーを風に時おり遊ばれながら、やがて一軒の扉の前に辿り着いた。

木製の、やたらと大きい観音開きの扉。

年月を感じさせる質感と、それを古さではなく『味』として魅せる見事な細工。
派手すぎもせず、かといって質素では決してなく、絶妙なバランスでそこに鎮座していた。

あたかも扉の前に立つ者を吟味するかのように。
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