雨とumbrella
理想

始まってもう7ヶ月の高校生活。未だ彼氏なんて出来ない。その原因は私の理想が高いからなのかも。

私、貴嶺逢王(たかみねあお)は、現役高校一年生。なんと受かるって言われてた難関公立高校に落ちて、今は普通よりちょっとだけレベルが高い私立高校に通ってる。……って言っても、入ってから偏差値が61もあるなんて思えないくらいここの高校はバカなんだって思った。
中学の頃から勉強を頑張ってきた私にとって、周りの友達の頭の悪さに思わずため息が出てくる。
「逢王ー、いつまで復習してんのー笑そんなんいいからさ、私と将吾との昨日のエピソード聞いてよ!」
と、友達の芦田美織(あしだみおり)と華月奈々(はなづきなな)に呼ばれる。数学まだ理解できてなかったからやりたかったんだけどな…と思いながら、仕方がなく2人のところへ。
「聞いてよ逢王。昨日美織と将吾くん、デートしたんだって♡」
「そういう奈々だって、昨日英二くんとラブラブだったじゃない♡」
「まあ、そうなんだけどね?」
喋り出すと止まらない2人には、彼氏がいる。そう、今で言うリア充ってやつ。でも私……この2人の彼氏があんまり好きじゃない。チャラチャラしてるし、学校も行ってないみたいだし。だからそんな彼氏の話をされても私はなんて返せばいいのかわからない。
「よかったじゃん。」
テキトーに返事を返しておく。
「もー!また人の話ちゃんと聞いてないし逢王!逢王もそろそろ彼氏作ったらいいのに。」
「うちらが紹介してあげようか?」
「いいです。(即答)」
2人の紹介する男なんてろくな人じゃない。
私はもっと真面目で…頭が良くて優しくて、まっすぐ自分を好いてくれるような人がいいの。まあ、そんな人めったにいないのは分かってるけど…。
「逢王は硬いんだよね〜。高1で一番可愛いくてモテ女なのに、なんでみんなみんなフっちゃうのか。もったいない!」
もったいないって…奈々は彼氏いるでしょ。
「とにかく私は、そういう人はゆっくり
探していくから。ほらほら、チャイムなるよ。」
私だって、彼氏が欲しくないわけじゃないよ。でも、ホントに好きになった人じゃないと付き合わないって決めてるから、出来ないのは仕方がない。
さっさと2人の中から外れて、私は自分の席に着いてため息をついた。
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