雨とumbrella

彼と彼のumbrella


あれから3日が経っても、まだあの人の顔と声が頭から離れなくて、あんなに真面目に聞いていた授業も上の空。
「ちょっと、逢王。あんたどうしたの最近ぼーっとして。」
美織と奈々が心配そうに言った。
「えっ。私、ぼーっとしてる?」
「してるよ。…まさか…恋?♡」
「嘘ぉ〜♡逢王が?!」
奈々の一言で、美織のテンションが上がる。
「ち、違う!そんなんじゃないから!」
おそらく赤くなっているであろう頬を両手で押さえて、真っ向から否定した。

あれから全然会えてない…。
名前も組も学年も知らない。向こうも私のこと全然知らないし。あの時、自己紹介してれば良かったかな…?
なんて、考えちゃうなんて、美織と奈々には絶対言えない。
「とにかく!私は今は勉強だから!」
そう言って慌ててノートを広げる私を見ながら、
「……恋してんだね。」
と聞こえないくらい小さな声で言った奈々の声に、美織が笑った。

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