スセリの花冠
第九章
満月の呪い
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「女ができたらしいな」
警備の打合せの後、アルファスは隣のディアランにニヤリとして声をかけた。
何度も会っているのに近頃はゆっくりと話す機会がなく、アルファスはようやく聞きたかった事を口にしたのだった。
「女なんていない」
静かに返事を返したあと、ディアランはアルファスをチラリと見た。
「そうか」
アルファスはクスリと笑うと深く呼吸をし、空を仰ぐ。
「ディアラン。このティオリーンは呪いなんかに負けない。この一件が片付いたら俺は東へ討伐に出るつもりだ。俺の留守中、国を頼むぞ」
ディアランは僅かに目を細めてアルファスを見つめた。
アルファスには夢がある。その夢は壮大だ。
立ち止まることなく世界統一という夢に突き進んでいく若き王を、俺は守りたい。
ディアランは頷き、しっかりとした口調で言葉を返した。
「留守はしっかりと守る。心配は要らないから思いきりやれ。その代わりアルフ。生きて帰れ」
アルファスは黄金色の瞳に力を込め、ニヤリと笑った。
「ああ」
満月の呪いに、あと一日と迫っていた。
「女ができたらしいな」
警備の打合せの後、アルファスは隣のディアランにニヤリとして声をかけた。
何度も会っているのに近頃はゆっくりと話す機会がなく、アルファスはようやく聞きたかった事を口にしたのだった。
「女なんていない」
静かに返事を返したあと、ディアランはアルファスをチラリと見た。
「そうか」
アルファスはクスリと笑うと深く呼吸をし、空を仰ぐ。
「ディアラン。このティオリーンは呪いなんかに負けない。この一件が片付いたら俺は東へ討伐に出るつもりだ。俺の留守中、国を頼むぞ」
ディアランは僅かに目を細めてアルファスを見つめた。
アルファスには夢がある。その夢は壮大だ。
立ち止まることなく世界統一という夢に突き進んでいく若き王を、俺は守りたい。
ディアランは頷き、しっかりとした口調で言葉を返した。
「留守はしっかりと守る。心配は要らないから思いきりやれ。その代わりアルフ。生きて帰れ」
アルファスは黄金色の瞳に力を込め、ニヤリと笑った。
「ああ」
満月の呪いに、あと一日と迫っていた。