スセリの花冠
「今度お前達が離れるような事になったら、もう遠慮はしない」

それから再び愛世を見つめて、アルファスがニヤリと笑う。

「次こんな風にメソメソしてたら、俺が
この身体と心でディアランなど忘れさせてやる。覚悟しておけ」

アルファス…。

「そろそろ邪魔者は消える。ドロス神に礼祭の儀を執り行う段取りがあるんだ。後でな、ディアラン」

「……ああ」

どうしよう、どうしよう。

この状況になす術もなく、愛世は身体を固くして両手を握りしめた。

アルファスの言葉の意味も分からないし、ディアランと二人きりなんて気まずい。

きっと……私今から振られちゃうんだわ。

だってディアランには恋人がいるもの。私の気持ちなんて迷惑に決まってる。

身体中の傷が痛い。けれど届かない想いを抱えた胸が、何よりも痛む。

俯いたままの愛世の瞳から、ポトリポトリと涙が落ちて光った。

……アイセ……!

ディアランは息を飲んでそんな愛世を見つめた。

たちまちグッと胸がつまる。

まさか愛世に想いを寄せられているとは考えもしなかった。

それどころか、軽薄な自分を嫌っているとばかり思っていた。

……もしかしたらあの日も、俺はこんな風にアイセを泣かせていたのか?
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